鳥の日記

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疑わない忠誠心を作り上げる国『跳べない蛙』北朝鮮「洗脳文学」の実体

跳べない蛙 北朝鮮「洗脳文学」の実体

2018年、北朝鮮は建国70周年を迎えた。
日本人を拉致してそれを悪いことだと思っていない国。異様に国家の最高指導者を持ち上げる国。ミサイルをバンバンと飛ばし、核兵器開発を止めどなく続ける国。一部の上級階層の人たちは裕福な生活を送る一方で、そのほかの国民は飢餓に苦しんでいる国。まるでディストピア映画に出てくるよう、こんな国が本当に現実にあるとは考えられないと思っていた。

どうして北朝鮮は崩壊しないのだろうか?広範囲に情報が行き交っている現代において、国民はどうして国家転覆を 図らないのか?そういった疑問をいただくのは、わたしだけではないと思う。その答えのひとつとして、北朝鮮には「宣伝扇動政策」がある。それは音楽、映画、文学など活用して、金一族をトップとした体制に対して“疑わない”忠誠心の強い国民を作り上げる仕組みがある。平たいことばでいえば、国家ぐるみで行われている「洗脳」である。


著者である金柱聖は、実際に「宣伝扇動政策」の先陣に立つ“北の作家”として働いてきた人物だ。そのため、経験談として北朝鮮の実体が生々しく語られていることが本書の魅力であろう。
また著者が在日として北朝鮮を“地上の楽園”として憧れ、実際に10代の頃にその地に降り立ってからの壮絶な現実に直面していくことから、見えてくる北朝鮮の実体を知るものとしても貴重な資料となりうるだろう。
北朝鮮がどうして崩壊しないのか?そんな疑問に対して、著者による意見を引用したい。

北韓はいつ頃、崩壊しますか?民主化運動は起こらないのですか?」
「みなさんは動物園に行ったことがありますか?仮に、北朝鮮を動物園に置き換えて考えてみてください。動物園では肉食動物や装飾動物、爬虫類、魚類、鳥類などが安全に飼育されていますよね?それは動物を閉じ込める柵があり、囲いがあるからです」

 

近ごろ、なにかとニュースに出てくる北朝鮮。その国家の仕組みについて知る意味でとても読む価値のある作品だと思う。