鳥の日記

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【鑑賞メモ】トウキョウソナタ(20131208)

 舞台はトウキョウ。線路沿いのちいさなマイホームで父、母、息子2人で暮らす家族の物語だ。変哲もないどこにでもある家族、むしろ恵まれている家族、そんな家族が崩壊する。誰かがそうしたわけでもない、気付いたらこの家族は崩壊していた。いや、おそらくもう既に崩壊していたのだ。父権的な父親のリストラ、それを知らないフリをするしかない母親、突然アメリカ軍へ入隊する兄、だまってピアノ教室へ通う弟、家族はバラバラだ。そんなの崩壊するに決まっている。ただ考えてもらいたい、私たちの家族もそんなものじゃないか、決して特異な例ではないのだ。家族なんて簡単に崩壊してしまうのだ。そんな現代的なテーマを扱った映画であった。

 

ここで、今作でのこの家族の危うさを如実に表したワンシーンを取り上げてみました。

映画にしろドラマにしても物語において「家族」を描く上で欠かせないものは食事であると思っている。家族全員が談笑しながら食卓を囲んでいるシーンには家族関係の良さ、絆の深さが見て取れる。分かりやすい例を挙げると、「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」がある。そんな和やかな食事シーンがない作品にはこの家族には問題があると見て取れるだろう。今作ではそれがどうか。本編で一度だけ家族4人が揃い夕食をとるシーンがある。父親が箸を動かすまで、妻と子供たちは一切箸を動かさず、じっと待っているのだ。そこに違和感のある居心地の悪い間があるのだ。父親の権威は色濃い家族であると思えば納得できるかもしれない。しかし、そうではないのだ。妻子供たちが持つ父親の権威は既に機能不全を起こしている。本人だけがそうと思っているだけなのだ。そんなところがなんとも皮肉なもので見てはいられない。

 

暗いイメージを抱いてしまって、観る気が失せるかもしれません。

しかし、ラストは一筋の光を抱かせるような素晴らしい終末が用意されています。

 おすすめします。

 
「トウキョウソナタ」予告編 - YouTube